福田洋平さん(Yohei Fukuda)イメージビスポークの魅力に出会うスペシャルインタビューメインイメージ

福田洋平さん|Yohei Fukuda(ヨウヘイフクダ)|インタビュー

靴づくりの原点に立ち返り、 「最高の普通」であるクラシックスタイルをつくることで 先人の築いた道をつなげられるようなものづくりを。

19歳で渡英、靴職業訓練学校のトレシャムインスティテュートで幅広く伝統的な靴づくりを学び、帰国後2008年に自身のブランド「Yohei Fukuda」を立ち上げた靴職人の福田洋平さん。トレシャムインスティテュート在学中から、ジョンロブパリ(John Lobb Paris)、エドワードグリーン(Edward Green)、チャーチ(Church’s)、ジョージコックス(George Cox)と、靴好きにはたまらないブランドで修業を重ねていきました。
卒業後には、ビスポークメーカー・ジョージクレバリー(G.J.Cleverley)の専属靴職人として300足以上の修理とサンプル製作をしながら技術を磨き、さらにエドワードグリーンやガジアーノ&ガーリング(Gaziano & Girling)ではアウトワーカーとして、英国貴族をはじめとする著名人のビスポークシューズを数多く制作してきたという華麗な経歴を持つ靴職人です。

あえて靴づくりの原点に立ち返り、100年以上も変わらないスタイルで最もエレガントと言われているオックスフォード(内羽式)にこだわる福田さんの原動力を探るべく、EYELET編集部が単独インタビューをさせていただきました。

過去と現在をつなぐ「靴」そのものに導かれ、志した靴職人への道

靴職人をめざすきっかけとなったのは、シューミュージアム(靴の博物館)にあった古いビスポークシューズとの出会いです。その靴は、1910年代につくられたとだけ説明されていて、誰がつくったとも、どこのメーカーでつくられたとも、書かれていない靴でした。それでも、今までに見たこともないくらいに美しくて、すごく感動したのを覚えています。この靴をつくった職人はすでに存在していないけれど、靴そのものは時間を超えて存在しつづけている。それで、人に感動を与えられるということに、感銘を受けましたし、その当時の靴職人がつくっていた美しいものづくりを後世につなげたいという気持ちが高まり、靴づくりの道をめざしはじめました。
その後、靴職業訓練学校のトレシャムインスティテュートで、幅広く伝統的な靴づくりの基礎を培う一方で、「ジョンロブロンドン(John Lobb London)」専属のビスポーク靴職人だったイアンウッド(Ian Wood)氏に弟子入り。卒業後には、ビスポークメーカー「ジョージクレバリー(G.J.Cleverley)」の専属靴職人としてキャリアをスタートし、数多くのシューメーカーで修業することができました。
今から考えると、この修業時代の経験が自分の糧となっていると思います。なかでも、ジョージクレバリーでは300足以上の靴を修理することができて、靴のつくりやバランスの良し悪しがわかってきました。しかも、現在の職人がつくった靴だけでなく、過去にアンソニークレバリー(Anthony Cleverley)がつくった靴なども持ち込まれて、10年、20年、さらに50年前のヴィンテージシューズから、本当にさまざまなノウハウを得ることができました。
福田洋平さん(Yohei Fukuda)イメージビスポークの魅力に出会うスペシャルインタビューイメージ01 アトリエに並ぶサンプルシューズ。どれも美しく、ため息がでるほど
ビスポーク・オーダーファイル|Yohei Fukuda(ヨウヘイフクダ)|福田洋平さんシューズイメージ08「Foliage」 ストレートチップよりも歴史のあるデザインのパンチドキャップトゥ

ただ、ものをつくるだけではないビスポーク職人の仕事

2006年に帰国し、’08年に自身のブランド「Yohei Fukuda」を立ち上げました。
その当時から追究しているのが「最高の普通」です。靴職人を志すきっかけとなったのがクラシックシューズでしたので、クラシックシューズの目的を念頭に置きながら靴づくりをしています。例えば、マウンテンシューズであれば山を登るため、ランニングシューズであれば走るためと、それぞれの靴には目的がありますよね。では、「クラシックシューズの目的って何だろう」と考えた時に、しっかり歩けること、美しく見えること、長持ちすること、そして、その人と共に育っていくパートナーとなることだと気づきました。私たちにとってクラシックシューズは、単に歩くためのものではありません。だからこそ、奇をてらわずに、例えばスーツを着た時に全体のバランスが良く見えるように、できるだけ普通につくりたい。いわば「最高の普通」を追求したいと思っています。
ビスポークの仕事というのは、テーラーであっても、シューメーカーであっても、ただ単につくれば良いという仕事ではありません。オーダーをしてくださる顧客がそれを着て、もしくは履いて、何をされるか、ということが一番大切です。そのため、私たちビスポーク職人は、その顧客の目的をより良い形で叶えるためのコーディネーターだと考えて、全体のバランスはもちろん、その人のライフスタイルや個性にもあった提案をするように心がけています。
福田洋平さん(Yohei Fukuda)イメージビスポークの魅力に出会うスペシャルインタビューイメージ02 靴だけでなく全体的なまとまりを重視する福田さん。オリジナルのバッグも手掛けている
ビスポーク・オーダーファイル|Yohei Fukuda(ヨウヘイフクダ)|福田洋平さんシューズイメージ17 メスをいれて、足の収まり具合を確認する仮縫いの靴

「もし、自分が顧客だったら……」という視点から生まれる発想術

ビスポークに興味を持った理由のひとつに、自分のコンプレックスを解消したいという動機もあります。私の足は小さくて、幅広く、甲高。革靴だけでなく、スニーカーを履いても痛みを感じるくらいです。それでも、足を美しく見せたいという想いがあって、自分のための靴をつくるという意味でもビスポークに興味を持ちました。だからこそ、履き心地も見た目のエレガントさも両方追求したい。そして、ついつい、「自分が顧客だったら」という視点から、ものづくりをしている気がします。
例えば、ツイステッドラスト。このラストにはもちろん意味があって、体重を外に倒す形にすることによって、皺を入りにくくしたり、歩きやすくなるということが一般的に知られています。でも、見た目の点でもメリットがあって、平面的な足の人でも足を立体的に見せることができます。
そして、オーダーシステム。ビスポークの靴では、1足目からぴったりとはまる靴をつくるのは難しいと言われています。でも、顧客は1足目からできるだけ完璧な靴に近づけてほしいと思いますよね。だからこそ、木型を調整したり、新規でつくったりと4つのオーダーシステムを設けて、ご自身にあったシステムを選べるようにしています。
さらには、納品時に付属するシューズバック。実は、デザインを毎年変えています。もし自分が顧客だったら、いつも同じもので納品されるよりも、違ったものの方が嬉しいと思うんですよね。
自分が顧客だったら、一番厳しい目を持っている顧客になるかもしれません。そんな自分の要望を叶えるためには、という発想でサービスを考えるようにしています。
福田洋平さん(Yohei Fukuda)イメージビスポークの魅力に出会うスペシャルインタビューイメージ03 アトリエに並ぶ木型。Yohei Fukudaのノウハウが詰まっている
福田洋平さん(Yohei Fukuda)イメージビスポークの魅力に出会うスペシャルインタビューイメージ04 履く人の足を美しく見せてくれるように、工夫を凝らしている

もっと日本の靴づくりを世界に向けて発信したい

現在、ビスポークの工房は東京だけでもざっと30軒以上あるはずです。靴職人を養成する教室も多く、今後、未来のビスポーク職人がたくさん巣立っていくと認識しています。 一方で、靴職人として生きていくのは楽な道ではないのが現状です。その状況を何とか打破したい。そのための一つの方法として、もっと日本の靴づくりを世界の人たちへ発信したい、と思っています。そんな気持ちからFacebookやInstagramをはじめました。今は、自分の靴づくりに関する発信になっているかもしれませんが、より多くの人に、日本の靴づくりを知ってもらいたいですし、もっと言えば、「靴づくりと言えば日本」と言われるようになりたいです。日本には良い靴をつくる職人がいますし、現に良い靴がこれだけ揃う国もそうはありません。その架け橋となるためにも、積極的に世界に向けて情報を発信していきたいと考えています。
福田洋平さん(Yohei Fukuda)イメージビスポークの魅力に出会うスペシャルインタビューイメージ05 英国の靴を凌ぐほどと評される美しい靴。福田さんは間違いなく日本が世界に誇る靴職人のひとり
福田洋平さん(Yohei Fukuda)イメージビスポークの魅力に出会うスペシャルインタビューイメージ06 福田さんの美意識が感じられるInstagram。
ぜひ、チェックを
https://instagram.com/yoheifukudashoemaker/
ライン

[編集後記]

「完璧主義」「緻密」など、いずれも福田さんを表す時に良く使われる表現です。ですから、実際にお会いするまでは、クールな雰囲気で何かを超越した方のように思っていました。ところが、お会いして話をしてみると、一つひとつの質問に丁寧に、真摯に、さらには気さくにお話いただく姿が印象的で、勝手に親近感を抱いたほど。そして、お話いただいた中で、おもしろかったのが、「手紙」を駆使して、どんどん道を切り拓かれたエピソード。例えば、ロンドンのビスポーク職人ジェイソン・エイムズベリー(Jason Amesbury)氏から「指導を受けたい!」と思えば、その想いを手紙にしたためて送ったそうです。「絶対に成し遂げたい!」という情熱がそこにはありますよね。
さらに、今回のインタビューを通じて感じたのが、福田さんは歴史的な背景を深く認識したうえで、本質的なものを探究されているということ。だからこそ、良いものづくりができるのでしょうし、顧客とより良い関係がつくれるんだなと。
また、個人的には、このインタビューを通じて、「装う」ことの大切さを改めて感じました。「最高の普通」って、「最高の贅沢」ですよね。他人の目から見て、自分はどう見られているのか、またどう見られたいのか、そんな装うことの原点を見つめ直すきっかけともなったインタビューでした。
ビスポーク・オーダーファイル|Yohei Fukuda(ヨウヘイフクダ)|福田洋平さんイメージ

福田洋平さんプロフィール

ふくだ・ようへい/富山県出身。英国での語学留学中に、靴の魅力にはまり、いったん帰国後、あらためて靴職業訓練学校のトレシャムインスティテュートで学ぶために2年間渡英。在学中にはジョンロブパリ、エドワードグリーン、チャーチなどで修行を重ねるかたわら、ジョンロブロンドンのビスポーク靴職人イアンウッド氏に弟子入り。イギリスの伝統技術であるハンドソーンウェルテッド製法のノウハウを学ぶ。 卒業後はジョージクレバリーの専属靴職人、エドワードグリーンやガジアーノ&ガーリングなどのアウトワーカーを経て帰国。2008年に自身の名前を冠にしたブランド「Yohei Fukuda」を立ち上げる。
[お問い合わせ]
Yohei Fukuda
〒107-0061 東京都港区北青山 2-12-27
BAL青山 2F
TEL/FAX : 03-6804-6979
ヨウヘイフクダお問い合わせE-mail HP : http://yoheifukuda.jp
ビスポーク・オーダーファイル|Yohei Fukuda(ヨウヘイフクダ)|福田洋平さんアトリエイメージ

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