靴を快適な状態を保つためには 靴ごとに最適なシューツリーを選びましょう
革靴は、使い捨てのファッションアイテムではありません。メンテナンスをしながら履けば、10年、20年と充分に履きこんでいけるアイテムです。
しかも、履けばはくほどに、インソールが自分の足の形に沈み込み、最初はなじみの良くない靴でも、不思議と快適になり、どんなに履いても疲れないなんてことも。
新品の段階がベストではないというのが、革靴の大きな特徴ですね。
源氏物語での光源氏が紫の上を幼少のころから自分好みに育てていったように、手をかけて革靴を育てていけば、ご主人好みな革靴へと立派に育ってくれる可能性があるということです。
では、メンテナンスって何なんだろうというと、革靴を良い状態に保つお手入れのことですね。
例えば、靴磨きだったり、ダメージを受けにくくするため、履く前にケアをしたり。
今回の「お手入れLABO」では、メンテナンスに欠かせないアイテムとして、「シューツリー」について掘り下げていきます。
靴磨きをするには、ある程度の時間がかかりますけれど、シューツリーであれば、革靴にさっと入れておくだけですので、お忙しいビジネスマンの方でも、取り入れやすいアイテムです!!
しかし、どの革靴にも同じシューツリーを入れている方は、要注意。
せっかくのシューツリーが、靴にとっては悪影響を及ぼしているかもしれません。
では、まず、なぜシューツリーが必要なのかを説明していきます。
意外と多いシューツリーの機能
そもそも、シューツリーって何のために入れるか、ご存知でしょうか。
形を整えるだけが、シューツリーの役割ではありません。
改めて、シューツリーの機能について考えていきましょう。
[シューツリーの役割]
- 型崩れを防ぐ
- 履きジワを防ぐ
- ソールの返りを防ぐ
- 靴内部の湿気を吸収
同じ革靴を毎日履くのは、靴を傷める原因になりますので、みなさん何足か揃えてローテーションで革靴を履いていらっしゃると思います。
そうすると、当然、履いてない状態の時間の方が長いわけです。
その履いていない状態の靴にシューツリーを入れることで、上記のことを防いでくれています。
これで、シューツリーが靴のケアに欠かせないアイテムということがおわかりいただけますね。
では、次は、シューツリー選びのポイントを解説します!
シューツリー選びは、靴のフォルムに合っているかが決め手!
シューツリーの役割で列挙した湿気の吸収以外は、すべて靴の形に関わるものです。
シューツリー本体の素材は、ブナ、ライム、シダー、カバなどで、どの素材にも良さがあります。
ですから、選ぶ際には、靴のフォルムとあったものを選ぶのが最も重要です。
シューツリーの種類を統一していると、見た目には美しいかもしれませんが、靴にとっては良くありません。
まず、シューツリーの種類をピックアップします。
用途によって選べるシューツリーバリエーション

バネタイプ
写真のシューツリーは、いずれもバネタイプのもの。左は2本のバネが使われ、靴を伸ばすテンションが強いタイプ。右は1本バネのタイプで、テンションは弱め。また、幅広いワイズに対応するサイドスプリットが付いています。

ネジタイプと踵のアジャスタブルタイプ
写真左は、ネジタイプのシューツリーで靴を伸ばすためのテンションが弱いため、ローファーなどに適しています。写真右のシューツリーは、かかと部分に厚みがなく、どんな踵にも合わせられるアジャスタブルタイプです。
では、靴のフォルムにあったシューツリー選びのポイントをあげてみます。
[ポイント1]トゥシェイプ

スクエアトゥ
イタリアやフランスの靴に多い、ロングノーズのスクエアトゥ。マッケイ製法で作られることが多いため、過度なテンションがかかるツリーは禁物。ネジ式のものや、バネ1本のものを選ぶと良いでしょう。
[ポイント2]甲のタイプ

甲の高いタイプ
靴を横から見ると、レースアップシューズなどは、足の形に合わせてせりあがっているのがわかります。この靴のフォルムに合わせて、選ぶとGOOD!トゥ部分の反り返りの有り無しも考慮しましょう。

甲の低いタイプ
ローファーなどのスリッポンは、タイトフィッティングで履くものです。だから、甲部分も低くなっています。ですので、シューツリーも甲の低いものを選びましょう。そして、ローファーには、テンションがかかりにくいネジ式のものを選ぶとGOOD!
シューツリーを選ぶ時のポイントがお分かりいただけましたでしょうか。
シューツリーを購入するのは、靴を購入するのと同時がベストです。
実際に、ツリーを入れてみて、フォルムに合っているか、テンションがかかりすぎていないかをしっかりと確かめてみてください。
また、高級革靴ブランドでは、純正のシューツリーをつくっているところがありますので、せっかくなので、純正を選ぶのも手です。
ただし、既製靴の場合、純正ツリーだからと言って、そのモデル専用に作られていることは少ないもの。
本当にその靴に合うシューツリーかどうか、販売スタッフの方に相談しながら慎重に選んでみてくださいね。