伝統とスタイル重視のジェントルマン御用達
並々ならぬこだわりを感じさせるレザーソール
これまでさまざまなラバーソールをご紹介してきた「みんなの革靴プロジェクト」。
連載7回目にして、いよいよソールの原点と言えるレザーソールを深堀していきます。
昔と違い、アスファルトやコンクリートの地面が多くなった現代では、機能面でレザーソールはラバーソールに劣っている面もありますが、その味わいの深さゆえに、まだまだレザーソールの人気が高いのも、事実です。
そして、伝統的なものだけに、実は深いこだわりを持った人を満足させうる嗜好性があるのがレザーソールの世界。
ラバーソールに引き続き、アイレット読者にお馴染みのシューズサロン&リペア<リファーレ>小澤祥一さんに解説していただきます。
靴好きを魅了するレザーソールブランド5社プラス1
レザーソールと一言でいっても、使う素材や鞣し方によって、それぞれ特徴が異なっています。例えば、オークバーク(=オークの樹脂)タンニンで鞣されているレザーソールは、繊維の密度が詰まっていて、堅牢な素材です。多少の固さはありますが、耐摩耗性に優れています。また、明るい色味の「レモンティ―ソール」は、柔軟性があるのが特徴です。
それぞれタンナーによって特徴があり、その知名度によって選ぶ方も多いのがレザーソールの世界ではありますが、知名度ばかりに囚われるのは得策でないかもしれません。そこで、リファーレで取扱いのあるレザーソールをピックアップし、それぞれの特徴を解説してもらいました。


オークバークタンニンの代名詞と言えるのが、<レンデンバッハ>です。オークバークタンニンを使用し、長い時間をかけて、革を鞣すという伝統的な手法で生産されています。それゆえ、革の繊維が密に詰まり、丈夫で耐摩耗性に優れているのが特徴。それでいて、革の返りも良く、足なじみも良い最高級のレザーソールです。
【費用目安】18,000円~(税抜)


明るい色味と柔らさが特徴なのが、イタリア・レモンティー社のレザーソールです。柔らかさゆえに、革の密度としては少し低目になっています。そういう意味で、特別な強度はなく、どちらかというと減りやすいレザーソール。しかし、比較的雨に強く、滑りにくいという点がメリットも。<トリッカーズ>に採用されているアウトとソールとして有名です。
【費用目安】17,000円~(税抜)


ベイカーは、1860年創業の伝統ある英国タンナーです。レイゼンバッハ同様にオークバークを使った伝統的な鞣し方法で生産をしています。下の写真を見ていただくとわかる通り、渋い色味が特徴です。質感としては、繊維がギュッとしまっていて、パキパキとしています。典型的なブリティッシュ仕様で、<エドワードグリーン>など英国の高級靴に採用されているレザーソールです。
【費用目安】22,000円~(税抜)


同じくオークバーグで鞣しているドイツ・キルガー社のレザーソールです。オールデンが採用していることで有名で、硬質で、繊維も密ですが、レンデンバッハと比べるとしなやかな印象のレザーソール。革の返りがほしいという方におすすめです。
【費用目安】17,000円~(税抜)


外見的にみても、特徴的な面を見ても、これまでご紹介したレザーソールの中間に位置するレザーソール。レモンティーよりも摩耗性に優れ、オークバーグで鞣したレザーソールより柔性があります。
リファーレでは、このベルギー産のマシュア社のものをスタンダードとしています。コストパフォーマンスの良いレザーソールです。
【費用目安】15,000円~(税抜)


オイルを染み込ませている国産のレザーソールです。そのため、雨が染み込みにくいのが特徴。耐摩耗性に優れているなどのメリットもありますが、オイルを使っているゆえ、グリップ力が小さく、ハーフラバーなどアフター加工をしにくいといったデメリットも。
【費用目安】15,000円~(税抜)
※費用の目安は<リファーレ>でオーダー時の目安です。
また、ダブルソールの場合+2,000円、スペードソールの場合+3,000円、チャネル仕上げの場合+3,000円になります。
レザーソールは、伝統的なアイテムなので、こだわりや嗜好性が強く表れるのが特徴です。そのため、ブランド指名でオールソールをご依頼くださる方も多いですね。
靴底にあまりこだわりがないという方でしたら、スタンダードな特徴を備えるベルギー産のレザーがおすすめ。
また、修理というのは、元の状態に戻すというのが基本なので、もともと付いていたレザーソールに近いものを選ぶと間違いがないと思います。
機能面やデザイン面で言えば、ラバーソールの方がバリエーション豊富ですが、まだまだ、レザーソールのシェアは圧倒的です。 伝統的なスタイルを大切にしながら、もっと快適な履き心地を実現できるようにご提案することを心掛けています。
講師ご紹介
小澤祥一さん
おざわ・しょういち/リファーレ恵比寿店・店長。埼玉県川越市出身。高校2年の時に、イギリスへ短期留学。ジャーミンストリートで靴の魅力にはまり、靴の専門学校へ進学。そこでは、一から靴づくりを学ぶかたわら、マーケティングや整形靴についてなど、広く知識を吸収した。 在学中に友人の靴を修理したことがきっかけで修理に興味を持ち、修理と販売に携われるリファーレに就職。
その後、9年間、技術とコミュニケーション力を磨き続けている。
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Tel:087-812-7123
連載バックナンバー

第7回
レザーソール編
2016/05/16 up!

第8回
レザーソールこだわりの仕様編
2016/06/13 up!
連載スケジュール
第1回 | プロジェクト発足について2016/2/8 update! |
第2回 | [ラバー]ダイナイトソール編2016/2/22 update! |
第3回 | [ラバー]リッジウェイソール編2016/3/07 update! |
第4回 | [ラバー]クレープソール編2016/3/21 update! |
第5回 | スポンジソール編 2016/4/04 update! |
第6回 | [ラバー] 【コラム】ソールメーカーの巨匠 ヴィブラムの魅力 2016/4/25 update! |
第7回 | [レザー]ブランドソール編 2016/5/16 update! |
第8回 | [レザー]こだわりの仕様編 2016/6/13 update! |
第9回 | まとめ |