アイレットTIPS:ビスポークシューズについて考える タイトル

アイレットTIPS:ビスポークシューズについて考える

確かな腕と信頼できる人間性を感じる工房に
お任せするのがビスポークシューズを成功させる第一歩

世界でもっとも多種多様な靴が揃う街と言われる東京。ここに暮らす靴好きたちは、自分たちの好む靴を存分に堪能していらっしゃると思います。
とは言いながら、靴は、単に装うためのアイテムではなく、歩くための道具として、機能性も重要です。そのため、最終的には、自分だけの究極の1足を求めて、靴を誂えるという方が多いようです。
そのきっかけを少し分類してみましょう。

  • PATTERN.1 既製品のサイズに不満のある場合
  • PATTERN.2 機能性を追求したい場合
  • PATTERN.3 デザイン性・ファッション性を追求したい場合
  • PATTERN.4 誰も持っていない靴がほしい場合

1.2は機能面、3.4はデザイン面についての要求と大別することができます。あとは、つくりの良さというのは、大前提でしょうか。

この分類を念頭に置きながら、どんなビスポークシューメーカーに依頼すれば良いのかを考えていきましょう。

※今回は日本人のビスポークシューメーカーに限定して、考えていきます

シューメーカーの得意なスタイルと、自分の好むスタイルはマッチしている?

まずは、自分の好きなスタイルは、どんな靴かを良く考えてみてください。例えば、イタリア靴のように、スラッとしたフォルムに、スクエアなトゥシェイプがお好きならば、イタリアでの修業経験があったり、イタリアで活躍、評価されているビスポークシューメーカーを選ぶと良いですね。また、オーダーの前に、必ずハウススタイルやビスポークサンプルをチェックしてください。靴職人の得意なスタイルがわかりますし、サンプルの中に、良いなと思えるものがなかったら、そこでのオーダーはやめたほうが、お互いにとって得策です。事前に、実物をしっかりチェックしましょう。
ビスポークシューメーカーによっては、百貨店などで受注会をすることもあるので、その機会を利用してサンプルを見ると良いと思います。また、ビスポークシューメーカーに個別にアポをとって、サンプルを見させていただくこともできます。

イギリス イギリスで修業経験のある靴職人

川口昭司さん(Marquess)
福田洋平さん(Yohei Fukuda)
柳町弘之さん(Hiro Yanagimachi)
横尾直さん(NYC)

イタリア イタリアで修業経験のある靴職人

清角豊さん(Corno Blu)
久内淳史さん(Il Quadrifoglio)
鈴木幸次さん(Spigola)
深谷秀隆さん(Il Micio)

その他の地域で 修業経験のある靴職人

遠藤光志さん/フランス
(79 Soixante-dix-neuf)
白濱結城さん/フランス
(Yuki Shirahama Bottier)
三澤則行さん/オーストリア
(Misawa & Workshop)

日本 日本で修業した靴職人

江川治さん(o.e.)
大野毅さん(TYE Shoemaker)
斎藤融さん(TORU SAITO)
高野圭太郎さん
(クレマチス銀座)
津久井玲子さん(LECOTT)
橋本公宏さん

求めるものは、履き心地?それともデザイン性?

ビスポークシューメーカーは、大別して、この2つの点(履き心地・デザイン性)にこだわりを持っている場合が多いです。当然、レベルの高い工房であれば、この2つを高い次元で叶えてくれるので、どちらも追求することもできます。とは言え、やはり得意分野もありますし、「二兎追うものは一兎も得ず」という言葉があるように、中途半端になってしまうかもしれません。
そのため、やはりお願いする工房を選ぶ前に、ビスポークシューメーカーのこだわりをチェックしてみてください。もし、デザイン性にこだわるようであれば、じっくりとこちらの要望を聞いてくれて、提案をしてくれるビスポークシューメーカーがおすすめです。オーダーする方の要望をあまり聞かずに、なんでも「お好みでどうぞ」というスタンスだと要注意。結局、ビスポークシューメーカーの都合の良いデザインやつくりに落とし込まれるかもしれません。 やはり、ビスポークの醍醐味は、注文主と職人の共同作業で1足をつくりあげることにあります。ですから、要望はどしどし伝えるべし。ただし、あれもこれもと盛りこみすぎの仕様にしないことです。ベースとなるデザインが決まったら、ある程度はビスポークシューメーカーにお任せするのもおすすめ。お任せした分、きちんと考えて、提案してくれるビスポークシューメーカーは信頼できると判断ができます。

誰も持っていない靴がほしいなら

ビスポークでお願いすると、基本的には、世界で1足だけになるので、誰も持っていない靴になります。それよりも、もっと独創的で見たこともないような靴がほしい!という方は、お願いできるビスポークシューメーカーが限られてしまうかもしれません。それと言うのも、革靴のデザインというのは、あまり変化がないもので、革新的な靴をつくれるデザイナーとしての資質が高い人が多いわけではありません。職人の中には、職人、技術者として優れている人と、デザイン性の高い靴を生み出せる柔軟性の高い人がいます。お願いしたい人はどちらのタイプか、考えてみてください。



とにかく、サンプルをしっかり見て、判断することが大切

これまで、ビスポークシューズをお願いするときに、考えておきたい点を説明してきました。しかし、既製靴と違って、完成品を見て選ぶことができないので、そこは、サンプルを見て判断することしかありません。あとは、職人の良心と言うか、矜持と言うか、そういった心意気に任せることになります。
ビスポークシューメーカーでは、一人ですべての工程をこなす体制をとる場合もありますし、分業をしている場合もあります。靴づくりには、大きくわけて製甲と底付の工程があり、製甲の経験を重ねてきた場合は、底付技術が備わっていなかったり、その逆もあるわけです。どちらの技術も備わっているか、サンプルで見極めてください。靴をつくる職人がどのような経験を積んできたかや、靴へのこだわりがわかると思います。

それでもどのように選べば良いか判断がつかないなら

いろいろと考えてみたけれど、どのビスポークシューメーカーにお願いするか迷ってしまうならば、百貨店や靴の専門店を通して受注会を行っているメーカーがおすすです。それというのも、靴のプロのフィルターを通して、これなら安心して販売ができると判断されているから。はっきりとした形になっていないものを販売するというのは、取り扱うお店にとってもリスクですよね。それでも、そのお店が受注会をするということは、信頼があるということですし、厳しいプロの目から見ても、自信を持っておすすめできるということです。また、百貨店であれば、カード優待などのメリットもあります。
一方、独自の工房を持っていて、そこだけを販路としているシューメーカーに頼むなら、ある程度自分自身でモノの良し悪しを判断しないといけないということを肝に銘じておいた方が良いかもしれません。

出来上がってきた靴を履いた時に、心から喜べるように、この人なら任せて安心と思える職人と出会えることを願っています。

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