KOKON(ココン)小紺浩良さんインタビューメインイメージ

名靴探訪|KOKON(ココン)|金沢

店主・小紺氏の懐の深さゆえに
全国から靴好きが集まる金沢・新竪町の名店。

石川県金沢市・新竪町商店街の一角に靴店を構える「KOKON(ココン)」。なんと、2015年9月10日に創業21年目を迎えました。
北陸新幹線の開業により、人で賑わう金沢の中心街から少しだけ離れたこの商店街は、煌びやかな金沢のイメージとは趣が異なり、まるで昭和にタイムスリップしたように感じる、ゆったり、のんびりとした雰囲気が魅力です。現在では、一味違うオシャレな八百屋さんや古本屋さんなど個性豊かなショップが並んでいます。それを21年もの間、牽引してきたのが、ココンオーナーの小紺浩良さんです。 小紺さんは、30年前に靴店で勤めはじめ、21年前に独立。独立当時は、仕入れメインで展開していました。ところが、現在では約9割のオリジナル商品を展開。それゆえ、ココンの靴に魅了された方や、ココンの靴の噂を聞きつけた方が全国から、ここ金沢・新竪町に集まっています。その訳は、もちろんここでしか手に入らない「靴」がほしいからではありますが、ゆったりとした時間が流れるこの場所で、知識や経験すべてに裏打ちされた懐の深さを持つ小紺さんとの会話を楽しみながら、靴を選んだり、誂えたりしたいという方も多い気がします。

靴好きを惹きつける「ココン」の魅力を探るべく、アイレット編集部が小紺浩良さんに単独インタビューをさせていただきました。

温かみが感じられる新竪町商店街で、21年

教師を目指していましたが、友人の勧めで靴店の面接を受けたことがきっかけとなり、靴店でのキャリアをスタートしました。当初は、バブル経済の真っ只中で、金沢の靴店にも、リーガルを中心に、ティンバーランド、バスなどインポートシューズが揃い、店は活気にあふれていましたね。しかも、修理に持ち込まれる靴がすごいものばかり。靴の販売では売上に応じた歩合を付けてくれる制度があったのですけれど、修理はその対象外。なので、修理に応じるのは、一番下っ端の私の役目でした。でも、その修理で培ってきた知識や経験が後々に役立つことになります。
それというのも、バブルがはじけ、売上が低迷。街からは大人がいなくなり、靴店は活気を失っていったのです。もうこうなると、雇ってもらっているのも申し訳なくて、いたたまれない気持ちになっていました。そんな折、「トレーディングポスト」誕生のニュースを知り、思い切って上京。<アレンエドモンズ>など風格漂う靴と出会って、こういう靴を扱いたいという気持ちが高まっていきました。
 独立という気持ちが固まっていないなかで、良い空き店舗があると聞き、内覧に行ったことがココン創業の決断を後押ししてくれたと思います。空き店舗のシャッターを開けた時に、商店街の魚屋さんやご近所さんが集まってきてくれたのですね。その時にみなさんの温かさを感じて、「この場所ならやれる!」という気持ちになったのだと思います。それから、13年勤めた靴店を辞め、新竪町商店街でココンを開店してから21年。人の温かさがいっぱいのこの場所に根を張ることができました。

ココン店内写真
店内は、ウッディで温かみが感じられる独特の雰囲気。オリジナルの靴がズラッと並ぶ
ココンのハンドメイドライン
既製靴からハンドでつくられるハイクオリティな靴など幅広く展開

つくり手と二人三脚でどんなニーズにも応え得る靴店に

21年前の開店当初は、独立前に目を付けていた<アレンエドモンズ>をはじめ、現在も取扱いをしているベルギーのアンビオリクス社の靴など仕入れをメインにしていました。しかし、仕入れをメインにしていると当然競合になる店があり、金沢でも中心街から少し離れたココンは、少しハンディがあります。だから、お客様からのご要望があれば、他の店で購入された靴の修理も対応するなど、独立前の経験を活かしながらいろいろと取り組んできました。
そうしたなか、転機となったのが、靴職人・高野圭太郎(クレチマス銀座)との出会いです。当時、高野は日本最高峰と呼び声の高い靴職人・関信義氏の元で修業をしていました。その高野に惚れ込み、二人で切磋琢磨しながら、フルハンドでつくる10分仕立てや注文靴など、取扱いの幅を広げられたことで、お客様の満足度も高まっていったと思います。
そして、高野と試行錯誤するなかで、現在の主力となる木型「KO-1」が完成しました。「KO-1」の特徴は、小さな履き口に、絞ったウエスト。それゆえ、快適な履き心地が得られるのですが、この木型はハンドでつくるのに適していても、機械でつくるには厳しい形です。
しかし、高野が自身のブランドを立ち上げるにあたって、ココンからのオーダー数を絞り込むことになり、当時浅草のセントラル靴で生産していた既製靴に「KO-1」を採用することになったのです。この難しい木型で機械生産をするというのは、難易度が高く、つくり手からは敬遠されてしまいます。それでも、セントラル靴に当店スタッフの駒沢(通称:ジェームス)を生産管理として動員し、オリジナルシリーズの「東京ファクトリー」ラインが誕生しました。
そして、2008年に、靴職人の常世田哲(○違鷹羽)がオリジナルハンドメイド製作に加入。現在では、セントラル靴から独立したジェームスらが立ち上げた「JOE WORKS(ジョーワークス)」が東京ファクトリーラインを製作しています。
独立から20年をかけて、既製靴、パターンオーダー、ビスポークまで対応する万全の生産態勢を築くことができました。それも一重に、高野・常世田・ジェームスたちのジョーワークスがあってのことで、チーム・ココンとして一枚岩で取り組んでこれたからだと思っています。さらに今では、ココンの靴を取り扱う靴店として、名古屋の「アバンティ」や横浜の「グロスターロード」が加わりました。チーム・ココンとして、お客様に喜んでいただける靴づくりを目指していきたいですね。

ココンのハンドメイドライン靴職人・高野圭太郎氏と常世田哲氏
ハンドメイドの靴をつくるのは、以前アイレット編集部でもインタビューさせていただいた靴職人の高野圭太郎氏と常世田哲氏
ココンの東京ファクトリーラインを手掛けるジョーワークス
既製靴の東京ファクトリーラインをつくるのは、浅草の靴工場「ジョーワークス」。その技術力は、プロの靴職人からも評価が高い

ゆったりとした時間が流れる金沢で 満足ゆくまで靴を選んでほしい

ココンの特徴は、他店、特に東京の店舗と違い、靴選びにたっぷりと時間をかけられるところです。遠くから来ていただいても、近県からお越しいただいても、同じように時間をかけて靴を選んでいただいています。それというのも、お客様自身、最初からこの靴でピッタリ合うという感覚というか、自信というのは、なかなか持てないものだと思っているからです。いろいろと試していただかないと、お客様の要望を引き出せませんし、納得していただけません。時間をかけて靴選びをしていただき、一度「これ」というものを見つけると、今後の自信につながるはずです。また、ココンは小さな店ですし、ハイブランドの靴店でもありません。だからこそ、お客様からの声を反映して、靴を改良しています。今後も、小さな店ならではの小回りの良さを生かし、少しでも靴をお選びいただくお客様の満足につなげたいですね。

ココン店内で接客をする小紺氏
小紺さんの接客スタイルは、実際に靴を試してもらって、お客様からの要望を引き出し、納得するまでゆっくりと選んでもらうというもの。一人当たりの平均接客時間は2時間位!?
ココンのオーダーファイル
お客様を喜ばせたい、という気持ちが小紺さんの原動力。要望を先回りして、かなえた商品をつくり、幅を広げることも多い。現在、レディースのダブルモンクを試作中
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[編集後記]

以前、靴職人の高野圭太郎さんを取材させていただいた時にココンおよび小紺さんについてお話を聞き、ぜひ金沢の店舗にお邪魔したいと思っておりました。今回、取材の機会をいただき、実際にお会いして感じたのが、なんと懐の深い方なんだろうということです。写真だけで、お姿を拝見していたときは、「少し、怖そうかな」なんて思ったりしておりました(←すみません!!)
でも、お会いして、話をさせていただくと、「なんて楽しそうにお話してくださるんだろう!」という印象に早変わり。しかも、惜しげもなく、いろいろと見せてくださるのですよ。そして、ご説明していただく内容が、30年もの経験に裏打ちされていて、深い!!
そんななかでも、印象に残ったのが、「チーム・ココン」について語るお姿です。そこには、当然発注者と受注者の垣根はなく、お互いに切磋琢磨をしながら、ともに良いものをつくろうという姿勢を感じました。このチーム・ココンは、毎月東京でミーティングをしていて、その姿は、小紺さんのブログで見ることができます。どんなことを感じて、靴をつくっているのか、つくり手の姿が見えるって、なんだかおもしろいですよね。

小紺浩良さんプロフィール

小紺さんイメージ
ここん・ひろよし/石川県輪島市出身。大学を卒業後、教師を目指すが、友人の勧めもあって、地元の靴店の面接を受け、靴一筋のキャリアをスタート。1995年に独立し、金沢市の新竪町商店街で「ココン」を開業。現在では、浅草の工場「ジョーワークス」が手がける「東京ファクトリー」ラインと、ベルギー王室御用達ブランド「アンビオリクス」ラインの2つを軸にした既製靴に、靴職人の高野圭太郎氏および常世田哲氏が手がけるハンドメイドラインと、パターンオーダー、ビスポークまで幅広くオリジナルで展開する靴店に。
[お問い合わせ]
KOKON(ココン)
〒920−0995 石川県金沢市新竪町3−36
TEL/FAX : 076-232-9255
E-mail :kokon@m2.spacelan.ne.jp
HP : http://kanazawakokon.com/
(営業時間)
月〜金 11:00〜20:00
土日祝 10:00〜19:00
(定休日) 
毎週水曜日(但し、祝日の場合は営業)
ココン店舗外観

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