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吉見鉄平さん|RENDO(レンド)|インタビュー

人と人とのつながりがうまく連動した時
良い靴が生まれる

大学在学中にロンドン留学を決意し、製靴技術を教えるイギリスの名門校「コードウェイナーズ・カレッジ」で学んだ吉見鉄平さん。帰国後、大学を卒業し、東京都立城東職業能力開発センター台東分校にて、さらに技術を磨き、シューズメーカー「セントラル靴」に就職しました。パタンナーとして同社に従事しながら、5年間靴づくりのさまざまな工程について経験。そして、パタンナーとして独立し、フリーランスとして、数多くのパターンづくりに携わった後の2013年に、日本を代表する靴の生産地である東京・浅草で、ドレスシューズブランド&ショップの<レンド(RENDO)>を始動させました。

そのショップ<レンド>では、吉見さん自らが接客も担当しています。いわば、デザイナーであり、パタンナーであり、ブランド主宰者である、つくり手が直接お客様とコミュニケーションできるスタイルというのは、まるでビスポークのスタイルに近しいようです。

既製靴の新たな可能性を模索する<レンド>の根底にある想い、原動力を探るべく、アイレット編集部が吉見鉄平さんに単独インタビューをさせていただきました。

パターンと徹底的に向き合ったロンドン留学時代

「コードウェイナーズ・カレッジ」へ留学したのは、将来的に靴づくりをしたいと思っていたわけでなく、輸入など好きな靴に関わる仕事に就きたいという漠然とした気持ちからでした。しかし、実際に留学してみると、同級生には、長谷川良治さん、田嶋塁さん、早藤良太さんと、今では日本だけにとどまらずに世界で活躍する方々がいて、自分との意識の違いを痛感しました。
それからは、このまま学生気分でいてはいけない、留学しているうちに吸収できることにはすべて貪欲に取り組もうと、意識が変わっていったと思います。 そのなかで、気づいたのが、パタンナーへの適性です。留学期間は半年と短く、学校以外でもやれることはやりたいと意欲を持っても、家に道具を持ち出すことはできません。ですから、家でできることと言うと、パターンの課題くらい。そこで、徹底的にパターンの課題と向き合うなかで、「自分はパタンナーに向いているな」と思うようになりました。もともと、器用なタイプではないので、ミシンのようにやり直しのきかない工程とは違い、何度もやり直しがきく、パターンナーに適性を感じていた気がします。さらに言うと、パターンは教科書に載っているような理論が全てではなく、先生によってもつくり方が違います。だからこそ、自分の手でノウハウをつくりあげていけるパタンナーの仕事が好きだったのかもしれません。
日本に戻って、就職活動にも取り組みましたが、結局、靴づくりの仕事に就くために、東京都立城東職業能力開発センター 台東分校で改めて靴づくりの技術や知識を身につけ、卒業後にシューズメーカーに就職。そこで、5年間勤務した後の2008年に独立し、フリーランスのパタンナーとして、多くのパターンづくりに携わりました。

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靴づくりの工程を垣間見られるものが展示されている<レンド>の店内
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オリジナルブランドを展開しながら、フリーのパタンナーとして、数多くの靴を手掛けています

木型づくりを学ぶことにより
「これでつくった靴を履いてもらいたい」という気持ちに

フリーランスのパタンナーとして仕事をするなかで、パタンナーとしてだけでなく、企画から受注生産をする依頼があったことがきっかけで、木型づくりにも取り組むことになりました。それまで木型づくりに関しては本格的に取り組んだ経験がなく、いわば自己流で感覚的に削ってつくってみたところ、案外評判となったのです。しかし、評判の高さとは裏腹に、つくった木型が人の足に合うのか、心配になってしまって……。そんななか、ビスポークシューメイカー・柳町弘之さんが主宰するラストメイクのトレーニングプログラムを見つけ出し、週1回の講座を2年間受講。柳町さんから木型のイロハを一通り教えていただきました。
そして、木型づくりを学んだことがきっかけとなり、ブランドの立ち上げを考えるようになったと思います。
パタンナーの仕事だけをしているときは、どちらかというと自分よりも後の工程に就いている人とコミュニケーションを取って、良い靴をつくろうという意識がありました。良いパターンをつくれたと自分が思っていても、後の工程の人と共通の理解がないと駄目です。例えば、自分はここが真ん中だと思っていても、人によっては違う箇所を真ん中と解釈されてしまうと設計が狂ってしまいます。だから、前の工程というよりも、後の工程とのコミュニケーションの方を大切にしていたかもしれません。木型づくりに取り組むことで、そういった靴づくりの工程をつつがなく流していくことだけでなく、実際に「この木型でつくった靴を履いてもらいたい」という気持ちが高まっていきました。
一方で、木型づくりを修得することで、パターンナーの領域でも、キレイに線を乗せられるようになるなどの相乗効果が生まれています。

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浅草駅から徒歩13分程度の<レンド>。広々として雰囲気ある店内に、モデルが展示されています
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ブランド立ち上げにつながった木型づくり。吉見さん自ら木型を削ります

お客様とも連動することで、生まれてくるアイデアがある

2013年、ブランド立ち上げにあたっては、「連動」という言葉から派生させて自身のブランドの名前を<レンド>としました。それは、10年以上にわたって靴づくりの現場を経験する中で、靴づくりはチームプレーだという意識があったからです。それぞれの工程を受け持つ者が同じ方向を見てものづくりをしなければ、良い靴は生まれません。だから、携わる人の想いを連動させることを大切にしたいという気持ちから名づけました。そして、連動したいという想いは、職人とだけではなく、お客様にも及びます。自分のブランドを立ち上げて、企画、デザイン、木型、パターンにあわせて、販売を担当することになって、お客様の声を直接聞かせていただく機会ができました。このことが、つくり手にとって、勉強になることが多いですし、そこから生まれてくるアイデアがあります。
今、自分のブランドでやろうとしていることは、既成靴にビスポークの哲学やエッセンスを取り入れることかもしれません。お客様との対話のなかで要望を拾い上げ、新たなサービスとして取り入れることもその一つです。
一方で、既成の靴であっても、お店に来てくださったお客様には、その方の足を見て最適になるように調整して納品をしています。それは、ただ単に靴を売るだけではなくて、何か一仕事してお渡ししようと心がけているということです。
靴を履いてみて、「合わなかった」で終わりにしてほしくないですし、<レンド>の靴やサービスが「合う靴」ってなんだろうということを考えるきっかけになってくれれば嬉しいですね。

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<レンド>のブランドロゴが入ったシューズケース。ロゴでは、2匹の牛がしっぽを絡ませてお互いを引っ張り合っています
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ショップはアトリエを兼ねているため、靴づくりの一端を垣間見られます
ライン

[編集後記]

<レンド>の取材をさせていただいて、この新しいブランドのスタイルに大きな可能性を感じる一方で、バランスを取るのが難しそうだなと率直に思いました。それというのも、吉見さんには、ブランドの主宰でありながら、工場に勤務していた経験があり、どちらにとっても良い、いわば「Win-Win」の関係をつくりあげることが求められるからです。それは、お客様との関係も同じで、<レンド>に関わる人々がハッピーになることを目指すということ。そのための努力を吉見さんが引き受けているようにも思えました。
例えば、木型。人の足をベースにすると、つくりやすいとは言えない木型になりがちです。一方で、つくりやすさばかりを優先してしまうと、履き心地が疎かになるかもしれません。そこでうまく調整点を見つけながら、最高の既製靴を模索しているわけです。
また、お客様へのサービスで驚いたのが、ダブルモンクの加工サービスの話。バックルをゴムで取り付けてある靴を納品しておいて、お客様がその靴を履くことで、靴の返りがでて、足が抜けるようになってきたら、無償でゴムを革に換えてくれるそうです。「最初からゴムにしておくと、締めにくいから」と吉見さんは説明してくれましたけれど、「そこまでやるって思うかなー」とこちらはびっくり!
今後は、新モデルのエプロンフロントダービーの展開を控え、さらにパターンオーダーの可能性も追求するそうで、<レンド>の動きに目が離せません。

吉見鉄平さんプロフィール

よしみ・てっぺい/ドレスシューズブランド&ショップ<レンド>および個人事務所<スタジオヨシミ>代表。パタンナー。徳島県出身。幼少期からサッカーに打ち込み、東京の大学へ入学。大学在学中に製靴技術を教えるイギリスの名門校「コードウェイナーズ・カレッジ」で学ぶ。大学卒業後、東京都立城東職業能力開発センター台東分校にて、さらに技術を磨き、シューズメーカー「セントラル靴」に就職。5年間の経験を積んだ後に、2008年にパタンナーとして独立。そして、2013年自身のブランド<レンド>を立ち上げた。
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[お問い合わせ]
RENDO(レンド)
〒111-0032 東京都台東区浅草7-5-5
TEL:03-6802-3825
FAX : 03-6802-3820
E-mail :info@rendo-shoes.jp
HP : https://www.rendo-shoes.jp/
営業時間:13:00〜19:00
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