今日は、サイズ選びに役立つラスト(木型)比較をお送りします。
通販サイトが充実した昨今、試し履きをせずに、サイズを選択しなければならないケースが増えてきました。
革靴には、個体差もありますし、試し履きをするのがベストです。
とはいえ、ベストに近い選択ができるようにするには、どうするか。
それは、シューメーカーごとのサイズ傾向を知ること。
とりわけ、ラスト(木型)の特徴を知っておくことではないでしょうか。
靴修理のパイオニアで、通販も手掛けている「UNION WORKS」では、こんなサイズチャートをホームページで掲載しています。

このチャートは、通販でお買い物をするユーザーの不安をできるだけ、解消するためにつくられたそうです。
とはいえ、以下のような注意書きも書いています。
フィッティングの好みやソックスの厚み、
足の形は人それぞれ違う為、あくまでの目安としてご覧になって頂ければと思います。
そう、ラストの特徴を知っても、やはり、すべての不安を解消できるわけではありません。
でも、きっと、知らないよりは役に立つはず。
ということで、今回は、EYELET読者の方から数多く寄せられた質問に基づき、<チャーチ>のラスト103と173を比較しちゃいます。
ドレスにカジュアルに
チャーチには、個性的な木型があります
1873年に、英国靴の聖地ノーサンプトンで創業したチャーチ。現在に至る長い歴史の中で、正統派の英国靴として不動の地位を確立していました。
なかでも、名作と言われるラストが多いのがチャーチの特徴の一つです。純英国的な朴訥としたフォルムのものから、現代的なロングノーズのものまで、実に多彩です。
まずは、ラスト#103、#173をそれぞれご紹介します。
コンフォートなラスト#103
このラストを採用しているモデルは、チャーチの名作として知られる「シャノン(SHANNON)」です。
トゥ部分にボリュームがあり、とても重厚な印象を受けます。
とはいえ、控え目なロングノーズで、ヒールは小ぶり。
ゆえに、無骨さの中にも、洗練を感じるラストだと言われています。
エレガントなドレス向けラスト#173
このラストを採用しているモデルは、ストレートチップの「コンサル(CONSUL)」、セミブローグの「ディプロマット(DIPLOMAT)」、フルブローグの「チェットウィンド(CHETWYND)」など。
どれも、ビジネスの定番といわれるものです。
その特徴は、トレンドに流されないクラシックなフォルム。
とはいえ、実は、この#173ラストは、2001年に登場したラストです。
それまでのドレスシューズの主流だったラスト#73の復刻版として、現代人の足型に合うようにバランスが調整されました。
そのフォルムの特徴は、
バランスの良いスクエアトゥ。そして、甲の高さがなだらかに上がっていること。さらにウエスト部分が自然にくびれていることです。
ゆえに、ナチュラルにフィットするのですね。
さあ、ラストそれぞれの特徴がわかったところで、次は、木型を大胆に比較します!
横幅は#103ラスト、ヒール部分は#173が大き目
まずは、#103のシャノンの上に、#173のディプロマットを乗せ、ディプロマットの形に赤線を引いてみます。
そして、ディプロマット自体を削除してみると……。
#103のシャノンの方が、#173のディプロマットよりも横幅が広く、ヒール部分は小さいことがわかります。
今度は、横から。#103のシャノンの上に、#173のディプロマットを乗せ、ディプロマットの形に赤線を引いてみます。
ディプロマット自体を削除してみると
甲のせり上がりのラインが#103のシャノンよりも、ディプロマットの方が急なのがわかります。
ゆえに、#103シャノンは、踵部分でフィッティングさせ、#173ディプロマットは、甲の部分とボールジョイント部(足で最も広く太いところ)と、ウエストの絞りでフィッティング性を高めていると考えられます。
また、#173を使った別モデル「ウエストバリー(WESTBURY)」と比較してもこの通り。
シャノンとディプロマットの比較と同様ですね。
いかがでしたか。
この比較はあくまでもEYELET編集部独自の見解であり、サイズ感の絶対性を保証するものではありませんので、あらかじめご理解ください。
ただし、今では通販でも、サイズが合わない場合に無料交換、返品ができる「amazon(アマゾン)」のようなサービスも増えていますので、ご利用されてみてもよいかもしれませんね。