とにかく軽い!コンフォート系アウトソール
「みんなの革靴プロジェクト」連載5回目は「スポンジソール」をピックアップ。
もともとスポンジソールが装着されている靴として有名なのは<レッドウィング(RED WING)>のワークブーツや、<ビルケンシュトック(BIRKENSTOCK)>のサンダルあたりですね。
共通しているのは、圧倒的な履き心地の良さに加えて、軽さ。それは、スポンジソールに由来するところが大きい要素です。

講師:シューズサロン&リペア
<リファーレ> 小澤祥一さん
今回は、「軽い」「柔らかい」「疲れない」と履き心地を左右する3つの条件を満たすコンフォートなアウトソール「スポンジソール」を研究していきます。
このプロジェクトの講師を担当してくれるのは、アイレット読者にお馴染みのシューズサロン&リペア<リファーレ>小澤祥一さんです。
スニーカー並みの軽さとクッション性で履き心地を追求できる!
「スポンジソール」の特徴は、なんといっても軽さです。前回ご紹介した「クレープソール」が装着された靴と比べてみると、格段に軽いのがお分かりいただけると思います。
さらには、軽さとともにクッション性も備えています。そのため、よくスポンジソールが使われているのは、コンフォートシューズという分野の靴です。
「コンフォート」は「快適」という意味で、足の健康を考慮して履き心地の良い靴がコンフォートシューズ。この分野では、北欧発のブランド<ECCO(エコー)>などが有名ですね。
スポンジソールは、どちらかというとデザイン面よりも機能面が際立っていて、中高年をターゲットとするブランドなどが採用しがちと考えられているかもしれません。 そうした層のシェアが確立している一方で、このスポンジソールの機能を生かつつ、若年層から支持を集めているのが前述した<レッドウィング>や<ビルケンシュトック>です。そう考えると、履き心地を重視するカジュアル志向の方におすすめできるアウトソールだと言えます。



優れている





ルックスはさておき、機能面によったアウトソールです。 特に高いのが、クッション性。それゆえ、コンフォートシューズの定番ソールになっているわけですが、素材の性質上、劣化しやすく、寿命は短いと言われています。
ただし、部分補修が可能な素材ですので、ランニングコストを抑えられるのもメリットのひとつです。
カジュアルでコンフォート向きのアウトソールのため、ドレスシューズとの相性は良くありません。ただし、ブーツ、スリッポンなどのカジュアルなデザインには○。
スポンジソールには、厚みや色味などさまざまなものがありますので、目指すイメージにあわせてチョイスしてみてください。
一方、接着相性としては、相性が悪いものはなく、修理に適したアウトソールです。
「軽い」「楽」という特徴から、コンフォートシューズなどの特化した分野で圧倒的なポテンシャルを発揮するアウトソールです。
ただし、気を付けたいのは、その管理方法。スポンジソールは、加水分解により劣化しやすいアウトソールで、ヒビが入ったり、もろい素材だと言われいます。
加水分解とは、スポンジソールの成分構成のひとつである空気が原因で起こる現象で、靴を履かずにソール内の空気がとどまっている状態だと、劣化が進んでしまいます。スポンジソールの劣化を少しでも遅らせるためには、靴箱に眠らせておくよりも、小まめに履いて、ソール内に刺激を与えることが有効です。
カスタム Before After
カジュアルな雰囲気のドレスシューズに、スポンジソールを装着。ビフォーとアフターで、随分雰囲気が変わっています。明るい色のソールを選ぶと、軽やかさが演出できますし、このように、レザースニーカーっぽい雰囲気にすることができます。
写真出典:リファーレ大阪店ブログ
次回は、アウトソール界の巨匠!?ヴィブラムの魅力に迫ります。
ご期待ください!!
Sponge Sole Outline
スポンジソールは、原材料はラバーなどと変わらないものの、そこに発泡性物質を加え、物質中に空気を含む素材。軽く、クッション性に富むので、主にコンフォートシューズに採用されている。 構造上、接地面積を広くとることが求められるため、ソールーヒール間に段差がないものが一般的。そのため、高所作業でも安全に行えるという特徴があり、<レッドウィング>などのワークブーツにも数多く用いられてきた。
講師ご紹介
小澤祥一さん
おざわ・しょういち/リファーレ恵比寿店・店長。埼玉県川越市出身。高校2年の時に、イギリスへ短期留学。ジャーミンストリートで靴の魅力にはまり、靴の専門学校へ進学。そこでは、一から靴づくりを学ぶかたわら、マーケティングや整形靴についてなど、広く知識を吸収した。 在学中に友人の靴を修理したことがきっかけで修理に興味を持ち、修理と販売に携われるリファーレに就職。
その後、9年間、技術とコミュニケーション力を磨き続けている。
[お問い合わせ]
Rifare(リファーレ)
E-mail :shop@rifare.jp
HP : http://www.rifare.jp/index.html
〒150-0022
東京都渋谷区恵比寿南2-7-1-1F
Tel:03-5768-1373/Fax:03-5768-1374
〒158-0083
東京都世田谷区奥沢5-24-1
Tel & Fax :03-6421-1310
〒550-0014
大阪府大阪市西区北堀江1-17-11? 1F
Tel:06-6533-1373
〒760-0054
香川県高松市常磐町1-3-1 瓦町FLAG 2階
Tel:087-812-7123
連載バックナンバー
連載スケジュール
?第1回 | ?プロジェクト発足について2016/2/8 update! |
?第2回 | ??[ラバー]ダイナイトソール編2016/2/22 update! |
?第3回 | ?[ラバー]リッジウェイソール編2016/3/07 update! |
?第4回 | ?[ラバー]クレープソール編2016/3/21 update! |
?第5回 | ??スポンジソール編 2016/4/04 update! |
?第6回 | ?[ラバー] 【コラム】ソールメーカーの巨匠 ヴィブラムの魅力 2016/4/25 update! |
第7回 | ??[レザー]ブランドソール編 2016/5/16 update! |
第8回 | ?[レザー]厚み・こだわり編 |
第9回 | まとめ |