自社工場で一貫して靴づくりを続けるヒロカワ製靴。
柔軟な発想力・真摯な姿勢により、生み出されている靴には
職人たちのこだわり・パワーが凝縮されています!
2016年6月中旬。アイレット編集部がヒロカワ製靴本社へお邪魔してきました。
ヒロカワ製靴は、<スコッチグレイン>を展開する東京・墨田区を拠点にするシューメーカー。
メイド・イン・ジャパンどころか、メイド・イン・トウキョウ、メイド・イン・スミダを信条に、靴が完成するまでのほぼすべての工程を自社工場で一貫して行っています。
実は、このヒロカワ製靴本社工場では、年に2回一般の方を対象にした工場見学ツアーを受け入れていて、実際に靴づくりの様子を見ることができます。
しかし、今回はそのツアーではなく、工場見学をお願いしていたわけでもなく、本社に訪問したところ、「せっかくなので工場をみていきませんか」とお申し出いただいたことで、見学が実現したものです。
それだけ、常に真剣に靴づくりにあたっていて、自信と心意気により生産現場をオープンにしているのだと強く感じました。
廣川社長自らご案内いただいた工場見学。アイレット編集部がそこで見たヒロカワ製靴の靴づくりの信念、こだわりをレポートさせていただきます!
REPORT CONTENTS

世界から最高級の素材を
自らの目・独自の基準で厳選
革靴づくりで要となるのが、革です。当然のことではありますけれど、シューメーカーがそのクオリティにどれだけこだわっているかは、なかなか消費者には見えづらい部分。
そのため、誤魔化そうと思えば、誤魔化せるのかもしれませんが、ヒロカワ製靴では、良い革の調達に労を惜しみません。国内はもとより、海外のタンナーにも直接足を運んで、自らの目で現物を見ることを大切にしています。
そうして、調達した革も一枚一枚丁寧にチェックして、ヒロカワ製靴が独自に設けているランク分け。クオリティチェックを徹底しています。

良質な革靴づくりのために
ほぼすべての工程を内製化しコストダウン
世界中から選りすぐりの革素材を集めた後の工程は、ほぼすべて自社工場で行っています。コストを抑えるというと、海外生産や、安価な素材を調達するなどの方法が考えられますが、ヒロカワ製靴では靴づくりのほぼすべての工程を内製化。それにより、社内での生産体制を合理化し、景況に左右されずに、製品の質を保つ方法を採用しています。

アイデアを形にできる確かな技術力で
創意工夫溢れる靴づくり
ヒロカワ製靴には企画部門が設けられていません。
現在では、オリジナルブランド<スコッチグレイン>に一本化し生産していますが、過去にはアパレルブランドの靴をOEM生産してきた実績があります。そのため、確かな技術力に柔軟性も兼ね備え、湧き出たアイデアを形にするノウハウが土壌にあるというわけです。
しかも、発想の源が豊か!
例えば、下記でご紹介するモデル「スパイダー」では革片の再利用から、「パンダシリーズ」ではウェルトの色からバリエーションが生まれています。創意工夫溢れる靴づくりが同社の強みですね。

最新鋭の機械を導入し生産体制を整備。
万全のクオリティコントロール
ヒロカワ製靴では、生産を効率化し、万全なものとするために、最新鋭の機械を積極的に導入しているのが特徴です。機械により精度の高まる作業は機械にまかせ、人の手を介することが求められる繊細な作業は手作業でと、最適な振り分けをし、安定した品質の靴を生み出しています。また、生産現場では若手の職人の方が比率的に多いような気がしました。
生産工程のほぼすべてを内製化し、東京・墨田区で靴づくりを完結しているというのが大きな特徴ですが、内製化は生産だけではありません。
なんと、直営店を運営し、自らが販売まで手掛けています。
しかも直営店は銀座・大阪、上野、ソラマチの4店舗の他、アウトレットにも出店。
ここで大切にしているのが、ユーザーの声を生で聞き、その声を靴づくりに生かすことです。
次回は、直営店にお邪魔して、店づくりや販売のこだわりなどを取材させていただきたいと考えています!!
[編集後記]
履き心地の良さを裏付ける「作業履きに革靴使い」!
今回、突然の工場見学に関わらず、一連の生産工程をくまなく見せていただくことができました。そこでは、革へのこだわり、コストパフォーマンスを維持しながら良い靴をつくるためにさまざまな工夫をされていることなど、印象に残ることばかりだったわけですが、特に、気になったことがあります。
それは、廣川親子の足元が革靴だったことです。人前に出るときは、足元を整えるけれども、工場で作業にあたるときには、ラクなスニーカーを履く職人の方が多い気がしますが、お二方とも革靴を履いていらっしゃったのが目に焼き付いています。
それだけ、自社の革靴が履き心地の良いものだと自負されている証だと強く思いましたね。