一つひとつを丁寧に。
ハイクオリティなプロダクトを生み出す生産現場
前回より、2回にわけてお伝えしている<世界長ユニオン>千葉工場見学レポート。「vol.1ブランドの中枢を担う企画・開発部門」に続いて、vol.2では生産部門についてお伝えしていきます。
<世界長ユニオン>の前身<ユニオン・ロイヤル>は、日本で初めてマッケイ製法の靴を製造したシューメーカー。
その技術力は世界的な評価を受けていて、イタリアで行われた国際芸術皮革製品コンテストでは日本初となるオスカー賞を1972年から3年連続で受賞しているほどです。
そんな<世界長ユニオン>の高級既製靴を生産しているのが、今回ご紹介する千葉県鎌ケ谷市にある千葉工場。ここには企画・開発部門と生産部門が設置され、生産の要となっています。
では、靴づくりの流れに沿ってレポートさせていただきます。

このレポートのvol.1でご紹介した通り、この千葉工場には生産部門とともに企画・開発部門が設置されています。そこでは、靴を量産する前に、生産工程をスムーズに進行するためのチェック作業などが手作業で行われています。

工場では、細かい工程に分けて作業が行われています。そして、ひとつの工程に一人が付き、それぞれの職人が責任を持ちながら分業。そうして、1足の靴をつくりあげるのです。
靴の製造工程は、アッパーに使われる革を縫い合わせる「製甲」作業と、アッパーと底を接合する「底付け」作業に大別されます。こちらの工場では、「底付け」作業を担っています。
靴づくりの重要な工程「釣込み」には「トゥラスター」という機械(「釣込み」の写真左側の機械)を使用。
機械生産であっても、微妙な調整が求められ、熟練職人が状態を見極めながら慎重に作業をしていきます。
釣込まれた甲革に底を貼っていく作業「本底付」の工程です。底面に接着剤を湿布し、圧着機にかけて、しっかりと底を貼った後に、アッパーと底を縫い合わせます。これらの工程を経て、ようやく靴の形になってきます。
底が固定できたら、次はヒール付けです。この工程が終わると底付け工程は終了し、仕上げの作業となっていきます。
仕上げの工程で、独特なのは、「アルコール拭き」から「磨き」の工程。
生産途中で革の表面に付いたごみなどをいったんアルコールで拭いた上で、クリームで仕上げをしていきます。革の風合いを生かした濃淡のある美しい仕上げは、熟練の技がなせるものです。
最後に、仕上げられた靴を細かく、そして入念にチェックをした後に、箱詰めをして完成!
PICK UP
革質・品質に対する強いこだわり
靴の最終的な品質は、革そのもののクオリティによると言われています。<世界長ユニオン>では、より良いクオリティの靴を生み出すために、革の細かな傷も見逃さないよう、チェックをしています。例えば、自然光の下で革質をチェックできる部屋を設けたり、革の断裁は自然光の入る窓際で行ったり。すべて、職人の目や手を通して「革を読み」、革を厳選しているのです。
今回、工場を見学させていただいて感じたのは、機械による生産ではあるけれど、決して単純な流れ作業でつくられたものではないということです。機械はあくまでも道具であって、それを使いこなす職人の方がバランスを整えたり、調整を行うという技術が美しい靴を生み出していると実感しました。 各工程のプロが連携して、1足をつくりあげているのですね。
世界長ユニオン千葉工場
千葉県鎌ヶ谷市鎌ヶ谷9-1-5
Tel.(047)446-9961
ユニオンロイヤル公式HP:http://www.union-royal.jp/