<開催期日>
2018年10月14日(日)
<開催場所>
銀座三越9階テラスコート
<開催概要>
昨年開催された第1回大会に続いて、今年も開催される靴磨き選手権大会。今年はフリーエントリーとなっていて、2018年9月26日現在、エントリーを募集中です。
<写真・情報出典>
「この世にふたつとないもの、一生大切にしたいもの、スタイルに自信をくれるもの。
“ONE OF A KIND”自分だけの価値あるひと品を探して。」をコンセプトに、2017年9月13日(水)~18日(月・祝)の期間中開催されていた「TOKYO MEN’S FES 2017 @ISETAN」。
以前の記事「今年もあの祭典がやってくる!!「TOKYO MEN’S FES 2017 @ISETAN」本日より開催」でもお伝えしたように、今回で2回目の開催となったイベントです。
このイベントでは、『伊勢丹新宿店』のバイヤーが世界中から集めた別注や限定のアイテム、いわゆるここでしか手に入れることができないモノが並び、スペシャル感を味わえるのが特徴。
そして、カラリングのワークショップや、クリエイターの私物を出店する掘り出しもの市なども開かれました。
今回、開催4日目となる16日(土)にアイレット編集部が靴好き注目のシューメーカーズカウンターコーナーを取材させていただけたので、写真を中心にレポートさせていただきます。
このイベントにご参加した方もご参加できなかった方も、その時の「熱気」を感じてください!!
<Boot Black|ブートブラック>などの日本発シューケア用品を展開している「コロンブス」からは、アイレットでもお馴染み、カラリストの三橋弘明さんが参加。
三橋さんは、磨きの技術もさることながら、厚い知識も兼ね備えている日本を代表するカラリストのお一人です。
相変わらず、無駄のない立ち振る舞いを拝見することができました。
<サフィール>ブースでは、東京・東池袋で「シューズバー」を営むシューシャインアーティストの高林巌さんが技を披露されました。
シューズバーは、靴磨きとお酒を同時に楽しめるユニークなお店です。
某百貨店退職後、靴磨きをはじめたという高林さんの軽快なトークと艶のある磨きで、夜な夜な靴好きが集まっているそう。
このメンズフェスでは、シューズバーのお客さまもいらしていました。
<M.MOWBRAY|M.モゥブレィ>などを扱うシューケア専門商社「R&D|アール・アンド・ディー」からは、シューケアマイスターの柴崎祐一さんが参戦。
柴崎さんは、RTPシューケアティーチング専任講師でもあり、さまざまな方にシューケアの講習を行っているプロフェッショナルです。
今回のイベントでは、<M・モゥブレイ>シュークリームを使う「ベーシックケア」、<ENGLISH GUILD|イングリッシュギルド>ビーズリッチクリームを使う「プレミアムケア」、<M・モゥブレイ>プレステージ クリームナチュラーレを使う「ナチュラルケア」などのコースが用意されていました。
<アール・アンド・ディー>が展開するシューケア用品は種類も豊富なので、シューケアマイスターの方に直接相談して、適切なお手入れを教えてもらうのがおすすめです。
2007年にアメリカ・ロサンゼルスで設立されたシューアクセサリーブランド<JASON MARKK|ジェイソン・マーク>。
<ジェイソン・マーク>の「PREMIUM SHOE CLEANER|プレミアムシュークリーナー」は手軽さと洗浄力の高さで、世界中のスニーカーLOVERから高い支持を集めています。
また、パッケージがスタイリッシュなこともあり、革靴LOVERのみなさんも、気になっているシューケアアイテムだと思います。
今回のメンズフェスでは、本場ロサンゼルスでスニーカーケアのトレーニングを受けたスニーカーケアテクニシャンの山口隆行さんが無料でスニーカーケアを提供してくれていました。
<+SOLE|アディショナルソール>は、靴職人の木田浩史さんが革靴のリペア手法を用いて、スニーカーのソールを張り替えるプロジェクト。
これまでも、革靴はオールソール交換などリペアが可能でしたが、スニーカーというと履きつぶすものという常識を覆すスニーカーのオールソール交換のサービスを提供しています。
こうしたサービスが展開できるのは、木田さんがエスペランサ靴学院で製靴について学び、自身のシューズブランド「Hiroshi Kida」を展開しているから。
リペアされたスニーカーは、新たな息吹が吹き込まれ、オリジナルとは異なる魅力を放っているように感じました。
これらのブースを取材させていただき、シューケアやリペアなど、モノを大切にしながら使い続ける知恵や最新技術を体感できたように思えます。
今後は、これまでの自分の経験で「これ以上使えないと」判断するのはNGかも。
プロフェッショナルに相談すれば、まだまだ履ける、そんな可能性もあるな、と実感させていただきました。
最後に、<クロケット&ジョーンズ>コーナーで特別なモデルを拝見させていただきましたので、ご紹介します。
<クロケット&ジョーンズ>コーナーでは、ファクトリーで使用されていた木型などが展示され、まるで本国のショップにいるような雰囲気。
そして、このイベントの告知記事でもご紹介した通り、今回のフェスに合わせて企画されたスペシャルモデル“Lofer5Brothers”が登場していました。
ご紹介したコーナーのほか、日本を代表するカラリスト<Fg-trente|エフジー・トラント>の藤澤 宣彰さんによるコースター染色体験なども開催され、ついつい体験してしまいました。
やはり、自分の手を動かして作った物は愛着が湧きますね!!
とても、楽しいイベントでした。
革靴好き御用達シューケア・レザーケアブランド<SAPHIR(サフィール)>を傘下に置くフランスのAVEL(アベル)社。
そのアベル社の社長を務めるMarc MOURA(マーク・ムーラ)氏が5月下旬に来日し、なんと革靴倶楽部アイレットが単独インタビューをさせていただく機会をいただきました。
<サフィール>製品の魅力はもちろん、2015年にアベル社傘下に加わった<ダスコ>の展開について伺うだけでなく、盛り上がりを見せる日本の靴磨き市場についてもご意見を伺ってまいりました。
―まずは、革靴好きから厚い信頼を集める<サフィール>ブランドについて教えてください。
<サフィール>は、アベル社で展開する数あるブランドの中でも頂点とも言えるベストな製品を提供しているブランドです。
特に、黒地をベースにしたパッケージの<サフィール ノワール(MEDAILLE D’OR)>は、天然成分を使った伝統的なレシピでつくられているハイグレードライン。
1925年のパリ万博で金賞を獲得した実績があり、その当時とほぼ同じレシピでつくられています。
最高品質のテレピン油やビーズワックス、カルナバワックスなどの天然原料を厳選し、極限までその配合比率を高めて調合した製品は、ハイエンドの皮革製品のケアにふさわしい品質と性能を兼ね備えているのが特徴です。
そうした技術力が認められ、世界的なトップブランドとの密接な協力関係を構築しています。
また、今年4月に、フランス政府から Entreprise du Patrimoine Vivant(Living Heritage Company―「生きた遺産」)として認証されました。
さらに、Bpi france(フランス公的投資銀行)のテレビ番組で健全な経営をする企業として、アベル社が紹介されるなど、製品の評価に加え、経営の質に関する評価も得られています。
―Living Heritage Company―「生きた遺産」とは、どのような賞ですか。
「生きた遺産」は、優れた技術力と伝統な製法、職人精神を根底にもつ企業が認証・授与される賞です。
認証されているのは<エルメス(HERMES)>や<ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)>などフランスを代表する世界的な企業。
アベル社には、革のスペシャリストが集まるラボチームがあり、こうした企業と協働で研究開発しているのが当社の強みだとも感じています。
そして、ここで築いてきた信頼関係は、<サフィール>製品の中にも見て取っていただけます。
例えば、「ROUGE HERMES(エルメス レッド)」と名付けられているカラー。
「技術力によって最高級の品物をつくる」という両社共通の哲学がベースにあり、認め合っているからこそ、ブランド名をカラー名に取り入れられるということです。
―<サフィール>製品の特徴を教えていただけますか。
先ほど少しお話したように、<サフィール ノワール>はハイエンドの皮革製品のためのケア用品です。
例えば、靴クリームの「クレム1925」は、伸びや浸透性が良く、ほど良い艶が出るのが特徴になっています。
配合成分をご覧いただくと、その効果がお分かりいただけるかもしれません。
それぞれの成分には、クリーニング、保革、保湿、栄養補給、補色、光沢などの効果があり、そのベストバランスが追求されています。
ひとつの製品でこれだけの効果がありますので、汚れの程度によっては、クリーナーなどを使わずにクレム1925のみでのお手入れをした方が靴にとって良い場合も。
それというのも、天然の革にとって、ケミカルな要素のあるものは負担になるからです。
なるべく、天然成分のものを使ってもらえる方が、革にとって優しい。
一方、強いクリーニング効果のある汚れ落としには、ケミカルな要素が高い。
なので、ひどい汚れが着いている時以外、なるべく使わない方が良いですね。
―そうなると、どんな靴にも「クレム1925」を使っていれば安心ですね。
実は、そういうことではありません。
最高級のクリームだからといって、どんな靴にもベストとは限らないのです。
例えば、ガラスレザーなど表面を加工している革に使うと、成分が浸透せずに、仕上がりが良くありません。
良質な革に使用することで効果を最大限に発揮できるクリームだということです。
―革質を見分ける方法はありますか。
そうですね。
あまり程度の良くない革の場合は、表面にキズやシミがあり、樹脂や顔料などで分厚く塗装して隠していることがあります。
一方、良質な革の場合は、素材を生かすために塗装をされておらず、毛穴が奥まで見えることが多いですね。
また、きめの細やかさなどをチェックするとわかりやすいと思います。
ケアアイテムを選ぶ際には、まずは革質をチェックすること。
それから、革が何を欲しがっているかを考えてみてください。
それが、水分なのか油分なのか。また、補色した方が良いかどうかなど。
それぞれの製品には、それぞれの用途がありますので、靴自体の状態によって選択していただくのが一番です。
―2015年にアベル社の傘下に入った<ダスコ>について教えてください。
<DASCO(ダスコ)>は、、1946年にフレディー・ダンケルマンにより英国で設立されたDunkelman&Son(ダンケルマン&サン社)が展開するシューケア用品ブランドです。
現在、靴の聖地と言われる英国ノーザンプトンに本社を構え、<John Lobb London(ジョンロブ・ロンドン)><Edward Green(エドワード グリーン)><Crockett & Jones(クロケット&ジョーンズ)><Church’s(チャーチ)><Cheaney(チーニー)>などの純正シューツリーを手がけるなど、名だたる高級紳士靴ブランドから絶大な信頼を受け続けています。
―やはり、<ダスコ>と言えば「シューツリー」でしょうか。
シューツリーだけでなく、ラストもつくっていますし、英国シューメーカーのシューケア用品をOEM生産しています。
ただ、これまでの<ダスコ>はあまり海外進出に力を入れていなかったので、海外で販売される<ダスコ>のシューケアアイテムのシェアは小さくなり、現段階では日本であまり知名度が高くないのが現状かもしれません。
今までの<ダスコ>は、いわば「眠れる森の美女」です。
僕のキスで起こして、さらにポテンシャルを引き出していきたい(笑)。
そうしたことから、アベル社の傘下に迎え、ブランドのイメージの再構築を図っています。
―どんなことからブランドイメージの再構築を手掛けていますか。
まずは、伝統的なものを大切にする英国紳士にふさわしいブランドと認知をしていただけるように、ブランドのロゴを刷新しました。
そして、今年3月からはパッケージもリニューアル。シックでありながら落ち着いたパッケージに生まれ変わりました。
日本市場では、「ロフト」や「東急ハンズ」などを中心に、全国の百貨店、量販店などで展開していく予定です。
―<サフィール>との棲み分けはどのように考えていますか。
そうですね。アベル社の製品として、頂点に立つのが<サフィール>製品というのは変わりません。
<ダスコ>ブランドのシューケアアイテムの目指すポジションとしては、<サフィール>の下と考えています。
<サフィール>でもノワールがトップで、プロフェッショナルなアイテムが豊富に揃うブルーラインがその次、その下に位置づけるブランドが<ダスコ>。
各ブランドのノウハウを共有し、ベストなソリューションの提供を目指していきます。
―シューツリーの展開はいかがでしょう。
アベル社には、<LA CORDONNERIE ANGLAISE(コルドヌリ・アングレーズ)>と<ダスコ>という2つのシューツリーブランドが揃いました。
この2ブランドにOEMを依頼しているブランドは50以上にも上りますので、この2ブランドで世界のハイエンドシューツリーマーケットの99%近いシェアとなります。
<ダスコ>のシューツリーは、シューケアアイテムのマーケティングとは異なり、これまで通り高級シューツリーを「ダンケルマン」名義で展開していきます。
―このところ、日本ではシューケアに注目が集まっているように感じます。
確かにそうですね。これは日本特有の傾向だと思います。
日本人のこだわりの気質がシューケアにマッチしているんでしょうね。
雑誌などで、シューケアアイテムに特化した特集を拝見すると、たくさんの情報が載っているので、選別するのが大変かもしれない、と感じるほどです。
フランスなどでは、日本ほどブランドのラインナップを取り揃える店舗はほとんどありません。
ユーザーの方から人気や信頼の高いブランドだけが残り、その他は淘汰されてしまいます。
その分、選び方はシンプルかもしれませんね。
―先日<Brift H(ブリフト アッシュ)>の長谷川裕也さんが「靴磨き世界一」の称号を獲得しました。日本の靴磨きのレベルについてどのように感じていますか。
「ワールド チャンピオンシップ オブ シューシャイニング」で優勝した長谷川さんももちろんですが、日本の磨き職人のレベルは世界的に見て断然に高いと思っています。
このコンペティションでの長谷川さんは、本当のプロを感じさせる洗練されたものでした。
―革靴倶楽部アイレット読者にメッセージをお願いします。
良い靴を購入し、その靴を大切に履きたいという方にとって、シューケア用品選びというのは、とても重要。
その点、私どもの<サフィール>製品は、自信を持って勧められるアイテムです。
それというのも、会社のDNAとして、創業時から最善のものをつくるという気質があり、それが世界中に認められています。
<サフィール>が販売されているのは約80カ国。
これほど世界中で受け入れられているシューケア製品はありません。
私たちの伝統的なレシピには、時間と手間がかかっているだけでなく、製造にはコツのようなものがあります。
このコツというのは、決定的な要素で、同じような効果を謳う製品があっても、<サフィール>が受け継いできたレシピやコツを超えるようなアイテムはつくられないと思っているほどです。
それだけ、私たちが自信を持ってつくり続けている製品であり、それが世界的に評価されている。
みなさんのお気に入りの靴にも安心していただけるベストなアイテムだと自負しています。
[編集後記]
実は、このインタビュー、都内某所でお食事をしながらお話を聞かせていただきました。
リラックスした中で、お話くださったと感じているのですが、印象に残っているのは、やはり絶対的な商品への自信です。
そして、ものづくりの信念も感じました。
それは、<サフィール>のマーケティングに表れています。
<サフィール>では、「この価格帯の商品があれば売れる」というような発想ではなくて、パートナー企業のニーズにより商品を開発しているそうです。
そして、テストを繰り返し、徹底的に検証をして製品化。
ただし、パートナー企業から開発依頼があればなんでもつくるというスタンスではなく、納得できるものでないとつくらない。
「最善のものをつくる」というDNAが息づいています。
また、全くの余談ですが、アベル社には価値ある美術品などが保有されていて、<サフィール>のパンフレットの表紙になっている絵もそのうちのひとつだそうです。
さらに、おもしろいなと思ったのが、ナポレオンの戴冠式で履いている靴の請求書も保有しているというお話。
あの有名な戴冠式の絵で描かれている靴の「請求書」がアベル社にあると思うと感慨深いですよね。
「あまり大きな声で言えませんが、鏡面磨きが苦手です」。
そんな方、少なくないですよね。実は、アイレット編集部員の知人Fさんもそのひとり。
お手入れは好きなのに、鏡面磨きとなると、どんなに時間をかけても、ほぼ光らせることができないという経験をして、苦手意識が芽生えてしまったそう。
そんな自分に、「ナチュラルな仕上げが好きだから、鏡面磨きはしなくても……」と言い聞かせ、いや言い訳をしてきたと、彼は言います。
でも、パーティーシーズンを控えるこの時期になると、「鏡面磨きができるといいのにな」なんて思い始めたりしますよね。
そんな鏡面磨きに苦手意識を持つ方に、嬉しい新製品が発売されます。
それが、今回ご紹介する<サフィール ノワール(Saphir Noir)>の鏡面磨き専用ワックス「ミラー・グロス(Mirror Gloss)」です。
アイレット編集部がお世話になっている<サフィール>ご担当の方から、新発売されるこのミラー・グロスを試す機会をいただきましたので、鏡面磨きが苦手なFさんにトライしてもらいました。
<サフィール>は、1920年に誕生したフランスのシューケア・レザーケアブランド。
言わずと知れた靴好き御用達ブランドですね。
そして、一言で<サフィール>といっても、<サフィール>に2つのラインがあるのは、皆さんすでにご存知でしょうか。
ひとつは、黒地をベースにしたパッケージの<サフィール ノワール>。こちらは、天然成分を使った伝統的なレシピでつくられているハイグレードラインです。素材を美しく保つだけでなく、独特の光沢感が生まれるなど、そのクオリティの高さゆえ、靴好きに人気のラインです。
もうひとつが、青地に白文字のロゴで展開している<サフィール>。こちらは、圧倒的なカラーバリエーションの乳化性クリームなどが特徴です。
現代のニーズにあわせた製品を展開しています。
今回、ご紹介する「ミラー・グロス」は、ハイグレードラインの製品です。
それでは、Fさんに<サフィール ノワール>ミラー・グロスを使っていただいたレポートをしていきましょう!
今回のミラー・グロスを使った鏡面磨き体験のためにFさんに用意してもらったのは、下の写真のUチップ(ブラック)。この靴のトゥ部分を光らせてもらいます。
ちなみに、鏡面磨きにトライする前に、通常のお手入れ(汚れ落とし、乳化性クリーム)は済ませておきました。
ワックスをウェスに取り、光らせたい部分に塗り込んで、次はウェスに水を含みクルクルと表面をなでると、数回でフワッとした感覚に。そうすると光りはじめの合図です。
一層目を仕上げただけでも、すでに光沢がでてきます。この間、所要時間にすると3分位。「ちょっと、感動してしまいました」とFさん。
さらに、光沢感を高めるために、ワックスを付けて、ウェスに水を含んで磨くという工程を繰り返し、層をつくっていきます。
そうして、3層位重ねてフィニッシュ。その状態がこちらです。
以前、鏡面磨きにチャレンジしたときには、層づくりに失敗して、もうお手上げという状態になり、ついには投げ出してしまった、というFさん。
ところが、今回は何層にしても、ウェスに水を含んで磨けば光沢がでるので、「むしろ層をつくるのが楽しくなってきました」と、鏡面磨きへの苦手意識が少し払拭されたようでした。
ミラー・グロスを使うと鏡面磨きが簡単にできる理由のひとつは、ワックスの固さ。従来の<サフィール ノワール>ワックスと比べて、固さがあり、それが「速く」「強力」に光沢感を生んでくれます。
ただ、ミラー・グロスはあくまでも鏡面磨きに特化したワックス。
従来の<サフィール ノワール>ワックスに含まれる「クリーニング効果」「栄養補給効果」はありません。
そのため、その時々の用途によってワックスを選ぶと良いかもしれませんね。
とにかく、素早く光沢を出したいならば、ミラー・グロスはおすすめです!
<サフィール ノワール>鏡面磨き専用ワックス
ミラー・グロス
価格: 2,200円(税抜)
カラー;2色(ブラック/ニュートラル)
発売:2016年12月初旬
2016年9月20日(火)~25日(日)の期間中に伊勢丹新宿店で開催されていた「TOKYO MEN’S FES 2016」。
開催4日目となる24日(土)にアイレット編集部がお邪魔してまいりました。
このTOKYO MEN’S FES 2016のテーマは、「男である100の幸福。」。
これまでのイベントが、ターゲットにフォーカスして開催されていた傾向にあるのに対して、TOKYO MEN’S FES 2016では「幸福」というキーワード・視点でイベントやワークショップ、限定品などを揃えている点が特徴です。
そのなかでも、靴好きの注目は、シューケアのことなら、なんでもござれの「シューケアアーケード」。
このアーケードには、日替わりで日本屈指の靴磨き職人たちが集結し、プロの技を体感できる「磨きのゾーン」の他、磨きの知識を得られる「学びのゾーン」など、シューケアに関するモノ・コトが集められていました。
アイレット編集部がお伺いした9月24日(土)には、伝説の靴磨き職人・井上源太郎さん(通称:源さん)がいらっしゃるとあって、このシューケアアーケードに注目が集中!?
それでは、写真を中心に当日の様子をお伝えいたします。
シューケアアーケードには、ズラッと4ブースが並び、靴磨き職人の共演とも言えるステージを拝見することができました。
磨き方はそれぞれですが、みなさん「魅せる」技を心得ていらっしゃるように思います。
また、こうしたブースでご自身の靴を磨いていただけるので、革靴LOVERのご来場者の方々は、職人さんの磨きの技術とともに靴にまつわる会話を存分に楽しんでいらっしゃいましたね。
またとない機会なので、かぶりつきで源さんの磨きを拝見させていただきました。
源さんは、ベルルッティのカラリストを務めるだけでなく、世界の著名人の靴を磨き続けてきた誰もが認める日本最高峰の靴磨き職人です。
齢70歳を超えた今も、東京・虎ノ門に位置するホテルオークラ東京内にシューシャインの店を構えています。
靴磨きの第一人者として尊敬を集める伝説の職人です。
まず、磨きを拝見させていただいて、驚いたのが家庭にある「アレ」が活用されていること。
アレとは、「ティッシュペーパー」です。
コバなどブラシでなければ届かないところを除いては、ティッシュペーパーを使って乳化性クリームを入れていらっしゃいました。
ティッシュペーパーを使う理由は、革の表面を傷めないためだそう。汚れやほこりもティッシュペーパーで軽く払うと、手早くお手入れができますね。
そして、ワックス。
ワックスには、綿100%のシーツを使うのが良いと教えてくださいました。
そのシーツを水で適度に湿らせた上で、ワックスを乗せ、靴全体を磨いていきます。
すると、ほど良い光沢が生まれていきました!
実は、アイレット編集部が見せていただいたのは、プロの方に磨いていただくのは初めてというご来場者の靴磨きでした。
初めて磨いていただく方が源さんだということで、周囲からはなんて「ラッキーな……」という羨望の声が聞こえてきましたね。
今回、源さんの磨きを見せていただいて感じたのは、その技術もさることながら、気さくなお人柄とそのトーク力です。
身振り・手振りを交えながら、磨き方を教えてくださるだけでなく、「靴を小まめに手入れする必要はないよ。今自分が履いている靴なんて、しばらく磨いてないし。汚れたら手入れをすればいいだけ。」などと、靴磨きの敷居を低くしてくれるような話をしてくださっていました。
そして、靴磨き職人の後輩の方には、飾らずアドバイスを送る姿が印象的でした。
そして、最後に、靴好きのアイレット読者に向けて源さんよりメッセージをいただきました。
「靴をキレイにしていれば、丁寧に履こうとする。靴を汚れたままにしておくと、雑に履くようになってしまうよ!」
モノに対する気持ちが靴自体に現れてしまうのだな、と改めて感じましたね。
革靴好きを幸福な気持ちにさせてくれるイベント・TOKYO MEN’S FES 2016は、終了してしまいましたが、10月は革靴イベントが目白押しです。
ぜひ、革靴職人や磨き職人の方と直接お話しできる絶好の機会に足を運んでみてはいかがですか。